ギイ・ヴィエイユ氏インタビュー

ギイ・ヴィエイユ氏近影1

- それではまず、磁器工芸家をめざされたきっかけからお伺いしましょう。

ギイ・ヴィエイユ氏(以下G.V) : わたしはこのリムーザン地方の生まれですが、ちょうど14歳の時、つまり義務教育過程を終えた時に、絵を描くのが好きだった私を見て指導教官がリモージュの工芸学校への入学を薦めてくれたのです。  

- その頃すでにクリエーターとしての才能を認められていたわけですね。

G.V :その工芸学校の先生のおかげで、わたしはすっかり職人世界の魅力や情熱の虜になってしまいました。夢中になって勉強し、職業適正証書を取得して卒業したあと、およそ五年間はリモージュのいくつかの工房で働きました。そして1977年にアンリ・パリー氏とともに工房の設立を決意したのです。私の役目はモデル(原型)の制作と装飾でした。その頃、リモージュボックスは主にアメリカ向けに作られていましたが、長方形や楕円型、卵形などシンプルなシェイプのものが主流でした。そこで私が旅行へ行った時のスケッチをもとに、まずスイカをデザインしたボックスを作ってみたのですが、これが人気を博し、これをきっかけにフルーツを題材にしたシリーズを出したのです。その後多くの工房が新しい形のリモージュボックスを作るようになり、動物をはじめとする様々なパターンが登場し始めました。

フルーツのリモージュボックス ヴァリエーションのもととなった作品

- つまり、お二人の工房が現在のリモージュボックスのトレンドを作り上げたわけですね。  

G.V :その頃、私たちの工房はまだブランド名がありませんでしたが、これらのヒットを機に商標を作ることになり、「PV」というブランドを立ち上げました。工房を開いてから8年後のことでした。  

- そしてリモージュ・ボックスの名ブランド「PV」の歴史が始まります。

G.V : 「PV」の作品はアメリカをはじめ、ドイツ、日本、アラブ諸国などで発表されました。その当時から私の作品をコレクションしてくださっている有名人もたくさんいます。ヒラリー・クリントンさん、マイケル・ジャクソン氏、イギリスではエルトン・ジョン氏、、、、。 

 日本へは『フランス革命200周年記念』(1989年)の文化行事として招待されて、東京や大阪、京都、名古屋、長崎などをまわったのですよ。各都市で制作の実演を行ないましたが、皆さん大変に興味を持ってくださったのが印象的でした。磁器制作の指導をなさっているというご夫人は、私たちの旅程に合わせて各地を着いて来てくださって、熱心に見学をしておられましたね。  

GVアトリエ風景2 パートナーのナタリーさんと共に

- 作品作りのインスピレーションはどんなところからくるのですか?

G.V :新しいアイデアの多くは私の旅行がヒントになっています。先ほどもお話ししましたが、例えばさまざまなフルーツをモティーフにした作品はアンティル諸島(西インド諸島)を訪れた時に描き貯めたスケッチが元になっています。スケッチを描く習慣は今もずっと続けていますよ。 

 現在、私は大変優れた装飾工芸家ナタリー・ファルジュさんをパートナーとして、常に変わらぬ情熱をもって新しい作品の制作に取り組んでいます。もうかれこれ35年以上もリモージュ・ボックスを作り続けていますが、この仕事の深遠さは、まだまだ私にその秘密のすべてを明かしてはくれないのです!  

- どうもありがとうございました。  

GVアトリエ風景3 アトリエ風景

インタビューを終えて :  

 リモージュボックス制作の第一線を歩み続けておられるにも関わらず、謙虚な姿勢で作品を作り続けるヴィエイユ氏。気温の変化に応じた絵の具の調整や品質管理の秘訣など、きめ細かなノウハウのお話を伺っていると気が遠くなるような思いでした。まさに長年の経験があればこその職人技。常に非常な好奇心で取り組むご様子に、みずみずしい新作創造の秘訣を納得した次第です。

 ヴィエイユ氏の新作も順次ご紹介してゆきます。是非ご期待ください。

インタビュー 2006年晩夏